
長良高校野球部30期OB
早いもので長良高校に赴任して12年になります。皆様には変わらぬご支援・ご声援をいただき感謝申し上げます。創部70周年の節目を迎え、改めてこれまでの足跡を見直し、新たな野球部へと飛躍したいと思います。
さて、この10年の成績を振り返ってみると下記のようになります。
これを見てどう思われるでしょうか。良い見方をすれば、「そこそこの成績を収めている」とも言えるでしょうし、見方を変えれば「いいとこベスト8止まりやな」「甲子園に出場してないのなら、どれも同じやな」と言うところでしょうか。
はたして『甲子園のアルプスを緑一色に染め、校歌を大合唱する』という目標は達成できるのか?私学が台頭する中、増々その道は困難になりつつあります。しかしながら、この険しい頂を登り詰め、城を建て、全国と勝負するには、まずは開拓者の気魄を持ってすればこそ達成できるものと信じ、その理念を長良高校の野球部員一人一人が受け継ぐことがまず必要だと思います。
そのひとつとして、チーム目標があります。毎年正月の練習はじめに、その期のチームスローガンを決めるのです。『70期』のスローガンは『執念』でした。選手権岐阜大会には3年生全員がベンチ入りして、一体感ある試合を見せてくれました。しかしながら、その場しのぎの『執念』は空回りし、積み重ねてきた『執念』の力を発揮しなければ意味を持たないことを痛感した試合になりました。積み重ねた力を信じて戦うことの大切さを後輩たちは感じたはずです。
『71期』は『凡事徹底』でした。当たり前のことを高いレベルで実現する中で、人間力を高め、野球力として開花させる。そんな思いで臨んだ試合は、先行逃げ切りの形になれば良いが、劣勢になったときのメンタリティーの弱さが反映される結果となりました。早々に『負け』たのです。
『勝つ』ためには、『負け』の経験を成長するためのチャンスにする必要があります。 『負け』=『弱さ』を認め、見つめ、克服する作業を選手とともに継続することを忘れずにやらなければなりません。こうした中、現在は次の事に取り組んでいます。
長良高校には、校訓をもとにした3つの教育目標があります。
これは、鈴木賢治前校長先生が提唱されたものです。野球部としては、この目標を日常生活において、『凡事』を具体化する。『徹底』のレベルを向上させる。この作業を地道に続ける。そして、これを『野球力』の向上に繋げるように取り組む。
まずは、この3つの目標を野球部が率先して実現しようと頑張っています。
次に、私は以下の3つを目的に選手達をコーチングしています。
どんなにお金があっても、どんなに素晴らしい技術を持っていても、最後には良き人材でなくては生き残っていけないと思っています。3年間の長良高校野球部での幾多の経験が、選手の人間性を育ててきたと思います。まだまだ、道半ばの感は否めませんけどね。
強いチームを作るためには、優秀な人材を集め、野球に取り組む心構えとスキルを教え込み、それを伸ばすべく鍛える。これを並行して継続することだと思います。
コーチングも時代とともに変わってきました。昔なら『殴る、蹴る、干す、罵倒、罰走』などの、今でいうハラスメント的手法で選手の意識を変えていくことが容認されていました。むしろ、理不尽なことに対する耐性や根性がないと生き残っていけない時代で、優秀な人材が脱落していきました。
野球では、権威を持った指導者が決めることは正しいことであり、それに従うことが正しいと思い込みます。それにより一体となるチームは、指導者以上の力は発揮できません。例えば、全力疾走を監督の指示でやっているチームや増してや叱られるからやっているチームに可能性は感じられません。つまり、監督にコントロールされているチームはまだ未熟なのです。これでは、新しい時代の開拓者は生み出せません。だから、こうした負の遺産からの脱却を果たすと共に、新しい時代のコーチングを模索しなければなりません。
「集める・教える・鍛える」の具体的なプランと方法については、多くのご意見があると思います。今回の機会を生かしたいと考えています。
投手の球数制限や申告敬遠、タイブレークなどのルール改正をはじめ、高校野球も新時代へと転換をしようとしています。その中で、これをチャンスととらえ早期に対応できるように準備が必要です。
指導者としては、
以上のような考えを基本として組織力を向上させ、自立したチームつくりを目指します。
新しい時代へ向けて変わる。
他律的指導から自立支援的指導への転換!
前途多難は承知の上!
新生!新風! 長良高校野球部の実現を目指します。
と高校野球ファンから熱望されるようなチーム作りをしていきたいと思います。
今回このような機会をいただき、皆様から多くの助言を糧に頑張ります。
よろしくお願いいたします。